奄美大島で、5人きょうだいの真ん中として育ちました。人が集まる賑やかな家でしたが、宴会の最中でも、私はひとり本を読んでいるような子どもでした。子どもの頃、母とゆっくり話せる時間は多くありませんでした。たくさんの人に囲まれながらも、「話したいのに、話せる人がいない」。そんな感覚を、幼いころからどこかで抱えていたのかもしれません。
Amazon Japanでは、10年間働きました。仕事には大きなやりがいがあり、成長できる環境にも恵まれていました。けれど、毎年、前年を超える成果を求められる日々の中で、立ち止まって自分の本音を見つめる余白は、少しずつ失われていきました。成果を出し続けること。子どもと向き合うこと。毎日を回すこと。それだけで精一杯で、気づけば、「自分は本当はどう生きたいのか」を考える余白さえ、なくなっていたように思います。コンフォートゾーンの中で、それ以上の問いに意識が向かわなくなっていた部分も、正直ありました。「これは、本当に私が望んでいる人生なんだろうか。」その問いは、忙しさの中でも、静かに残り続けていました。
そして、心のどこかでずっと思っていたことがありました。自分の子どもには、同じ思いをさせたくない、と。忙しい親の背中を見て、気持ちを飲み込んでいた幼いころの自分が、その決断を後押ししていたのかもしれません。
何かを捨てなければ、本当に大切なものは選べない。そう気づいた時、答えはもう決まっていました。私はAmazonを辞め、奄美で子どもたちと向き合いながら、自分で事業を始めることを選びました。収入も肩書きも一気になくなりました。下の子は、まだ5歳でした。それでも、不思議と後悔はありませんでした。「自分の足で、自分の人生を選び直した。」その感覚が、恐怖よりも先にあったからです。
経営者になって、あらためて感じたことがあります。それは、「話したいのに、話せる人がいない」という孤独は、子どもの頃に感じていたものと、とてもよく似ているということでした。経営者も、リーダーも、責任を持つ人ほど、本音を飲み込みます。周りに人がいても、本当に弱さを見せられる相手は少ない。だから私は、人生や事業の転機の中で、一人で決断を抱えている人に、深く寄り添いたいと思っています。
コーチングに出会った時、「これは、私がずっとやりたかったことだ」と直感しました。気づけばその日のうちにスクールへ申し込んでいました。コーチ・エィでは、学び始めて数ヶ月の段階で、講師へのチャレンジも勧めていただきました。そして学ぶ中で、私自身もコーチについてもらうようになりました。一人で抱えていた時には見えなかった選択肢が見えるようになりました。「人は、ひとりでは見えない景色がある。」そう強く実感しました。
誰かに答えを与えるのではなく、その人自身の中にある声を、一緒に見つけていくこと。急がせないこと。余白を持って、本当の声が立ち上がる時間を待つこと。それが、Lucia Worksのコーチングです。